“老後破産”が切実に心配で……「お金の不安」解決策②

隠居せずに働き続けるパートタイマー・阿部絢子さんに学ぶ

60代で薬局のパートタイマー 阿部絢子さん(72歳)

[プロフィール]
生活研究家、消費生活アドバイザー。家事をはじめとする生活研究の第一人者としてメディアで活躍する一方、百貨店の消費者相談センターにも30年以上勤務。現在も執筆や講演などを精力的に続けている。近著は『案ずるより、片づけよう 住まいの老い支度』(講談社)。


不安があったら書き出し、“お化け”と向き合って

阿部さんに会いにうかがったのは、ご自宅のマンション。玄関のインターフォンを押すと、元気な声で「はーい」という返事が聞こえ、笑顔で出迎えてくださいました。
明るいリビングにおじゃまをし、大きな座卓がドーンと置かれたシンプルなインテリアを見て、私たち取材班は興奮ぎみに。ホント、阿部さんの書籍で拝見したとおりで、物が少なく、すてきなお部屋です。
「私は人が集まっておしゃべりするのが好き。人が来たときに何人も座れるこのテーブルは便利なの。イスや棚がいくつもあると掃除も面倒だし、年をとったら家具が少ないほうが安全でしょ。暮らしは年齢とともに変化するから、50代から少しずつおっくうにならないようなインテリアに変えてきたのよね」
なるほど~、と思わず声がそろう私たち取材班。
お部屋のこともつい聞きたくなってしまうのですが、いかんいかん、今回はお金や仕事のことを聞きに来たのでした。阿部さんが今お気に入りという、24種類のブレンド茶をいただきながら、老後のお金の不安についてお話をお聞きしました。

「老後の不安は誰もが持っているもの。そんな人を脅すような今の風潮は、私は反対だわね。これからの生活に不安を感じたら、まず書き出してみるといいですよ。不安なんてよくわからない“お化け”。だから、不安になるの。それと書き出すだけで、不安をちょっと小さくすることは簡単ですよ。それから未来に向かって気持ちを切り替えて、どうしたらいいかの対策を書き出してみると良いと思います」
「不安の正体」を見るのは勇気がいることかもしれませんが、「何が・どう不安か」を書き出してみると、視界が開けてちょっと冷静になれる気がします。
「私が不安を書き出したのは、友人が病で半身不随になった、その時、自分だったらどうしよう、って思ったのね。体のこともでしたが、これからのお金のことも。でも使い道を書き出してみると『こんなに使っているのか』というのもわかったの。お金は一気にたまらないから、ちょっとずつ貯蓄しないといけないでしょ。私の場合は、足りない分は『働く』ことにしたのです。それと共に『人付き合いで見栄をはらない』『お金のかからない趣味を持つ』など節約する対策も考え、実践するようにしましたよ」

経済的な不安があるなら、目をそらさずにどんぶり勘定の家計を見直さないと、ですよね……。私も自分は月々いくら使っているのか書き出し、事実確認をしてみようと思いました。


仕事は3年経ってから、おもしろいと思えるように

現実には、年齢を重ねてからの就職に躊躇する人も多いはず。阿部さんが実際に働いてみて感じたことを教えてもらいました。
「もちろん、体力は若い人にかないませんし、新しいことを覚えるのもひと苦労です。私は60代になってから、薬局で新しい仕事を始めるという選択をしましたが、どんな仕事でも最初から100点満点でできる人はいないんじゃないかしら。『石の上にも三年』ということわざがあるけれど、本当にそうだった。長く続けることでレジも打てるようになったし、お客さんとの会話に自分の楽しさを見つけることができました。品出しは辛かったけど(笑)。でも、どうしたらうまくできるか考えてやってみて、辛いことも楽しく考えて前向きにすることにできたのがうれしかったですね」

阿部さんでも、慣れないときは友人にグチを言い、叱られたことがあったとか。自分より若い人たちと、うまくやっていくコツはあるのでしょうか。
「一番は張り合わないことですね。失敗したらすぐあやまります。みんな年をとると『この年で失敗したくない』と思うものだけど、新しく始めることに失敗はつきものですよ。でも、がんばったことならそれも許せるし、乗り越えれば今後の自信につながると思います」

「再就職は新人だと考えるべき」というのが阿部さんの持論。怖がらずに飛び込む勇気を、どんな年代になっても持てるようになりたいと思いました。

その後、日々の楽しみや講演で訪れた先での出来事、いま働いている薬品会社の仕事のことなどを話していたら、あっという間に滞在が3時間以上に! 明るくて前向きな阿部さんに元気をたっぷりおすそ分けしてもらい、阿部さん宅をあとにした私たちでした。


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